2013-01-03

加藤陸雄のニューヨークひとり旅【その2】


8月11日 PM8:00  観劇2本目『メリーポピンズ』

 私は大の映画好きであります。中学のころから観始めた映画の総数は軽く2万本は超えていましょうか。そしてその私の映画ナンバー1が「メリーポピンズ」なのです。
いまだにこれを抜く映画には出会っていません。ですから、このミュージカルを観るにあたっては、意地悪く腕を組みながら斜に構えて「おれのメリーポピンズを汚してくれるなよ」といった気持ちでシートに座りました。だってメリーポピンズといったらジュリーアンドリュース以外はありえなかったんです。ところが・・・

 舞台にメリーが登場しました。歌を歌いました。なんて品があって、声がきれいで、清潔感があって・・・気がついたら泣いていました。目の前で歌っているメリー、踊っているメリー。「ホンモノの、生のメリーポピンズがいる!」もうそれだけでうれしくて涙があふれてしまったのです。・・バッカみたい(笑)。大筋のストーリーは映画と同じでしたが、舞台ならではのステキなシーンもたくさんありました。
 映画ではメリーの魔法でみんなは公園からアニメーションの世界に入っていくのです。舞台の公園はすすけた灰色の色調で統一されており、公園の中を歩いている人たちも黒の傘やグレーのコートといったモノクロの世界でありました。それがメリーの魔法がかかるや一瞬にして原色の公園と色とりどりのコートを着た人々に変わってしまったのです。きっとそうなるであろうと予想していましたが、予想をはるかに超える見事な変わりようでした。
 さらに圧巻だったのが、メリーの相棒のバートがタップダンスを踊りながら公園の上手の端まで行くや、そのまま舞台の額縁の壁をタップをしながら登り始めたのです。もちろん、よく見れば彼の腰にはワイヤーがついていました。フライングの応用パターンですが、びっくりです。しかも、その後なんとバートはそのまま額縁の天井に足をつけ、さ
かさまになりながら下手に向かってタップを踏んで進み始めたのです。天井にタップ用の板がついており、その板ごと移動しているのですが、さかさまのタップなんて初めて見ました。しかも地上から10メートルはあろうかという高さ。「おおー!」観客席からは惜しみない大拍手がわきおこりました。

 ラストシーン。映画では人知れずひっそりとバンクス家を去っていくメリーですが、しかし舞台では夜、バンクス家のみんなが見送る中、メリーは傘を開きます。すると傘がみるみるひろがり、舞台いっぱいの大きさになるのです。傘の内側には無数の青い電球がまたたいていました。大勢のアンサンブルも青い電球をたくさんつけた黒いコートを着て登場。舞台は一面の星空になりました。ため息が出るくらいきれいなシーン。メリーが歌う「シューティングスター」。バンクスさんたちも、アンサンブルもみんなで高らかに歌い上げます。するとメリーの体がふわっと宙に浮き、そのまま客席に向かってやってきて、3階席のかなたに消えてしまったのでした。それを歌いながら見送る登場人物たち。これぞミュージカル!感動して鳥肌が立ち、また涙が出てしまいました。もう、泣いてばかり・・・。

 客席が明るくなると、家族連れが多いことにも気が付きました。子ども達にちゃんとした劇を見せ、そして劇場でのマナーや、劇の中での拍手の仕方などを大人が身をもって教えているのです。家族が伝える文化というものがしっかりと成立していることにも感心しました・・・・・・つづく

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