2013-02-09

加藤陸雄のニューヨークひとり旅【その4】


●8月12日 PM8:00  観劇5本目『オペラ座の怪人』

 いよいよ「ファントム・ジ・オペラ」(と、カタカナで書いてしまうところが悲しい)です。チケットを片手に劇場につくと、すでにすごい人だかり。現在のブロードウェイで人気(観客動員数)NO.1なんです。入場すると座席に案内してくれる係の人が魔女のような黒い服に身を包んだ白髪のおばあさん!怖かったです。本物なのかメイクなのかはわかりませんが、始まる前からもうドキドキです。

 さて内容ですが、私は「オペラ座~」を四季の舞台で見ています。シャンデリアが落下する装置やロウソクの群れの中を船が進む幻想的なシーンにびっくりしましたが、でもそれだけでした。ですから2004年に封切られた映画版を見て、やっとストーリーがわかったという程度でした。
 序盤、シャンデリアが落ちてきます!・・驚きません(笑)。中盤、クリスティーンが切々と歌い上げます・・映画よりうまいかな。ロウソクの舟・・日生劇場の舞台の方が広い感じだなあ。などと、冷静に一歩ひいて眺めておりました。「このまま終わるだろうな。まあ、いい舞台だったということで・・」と思っていたのです。ところが!あんなに号泣するハメになろうとは・・・・。

 クライマックスシーンです。地下場面で、ファントムがクリスティーンの恋人ラウルの首にロープをかけ、「お前が俺と一緒にこの地下で過すなら、恋人を解放してやる。もし俺から逃げ出すなら恋人も殺す。どちらかに決めろ!」と言うと、クリスはファントムに近づきキスをします。するとファントムはロープの手を緩め「早く行け。2人で逃げろ!」と、2人を逃がすのです。四季の舞台でも、映画でもこのシーン「恋人を助けるためにキスをするクリス」は、好きになれませんでした。若い男を選んだクリスとたかがキスで許す安っぽいファントム・・・。

 しかし、このブロードウェイの「オペラ座~」は違ったのです。クリスはファントムにキスをします。続けて2回したんです。そこにクリスの思いがこもっていました。クリスは本当にファントムを尊敬していた。感謝していた。そして愛していた。そういう思いがつまったキスでした。それが客席にひしひしと伝わってきました。ファントムに「行け!」と言われてもなかなか行こうとせず、それどころかファントムの胸に飛び込もうとするクリス。それをやめさせ、彼女を去らせたファントム。彼はクリスの初めのキスで驚き、次のキスで彼女をしっかりと抱きしめます。キスの後、彼女を去らせてから・・・なんと!彼は泣き笑いの表情を浮かべたんです。それが私の引き金を引きました。ちょっと待て!「オペラ座~」ってこんなに切ない話だったっけ!
 ファントムは心からクリスを愛していたんです。深く愛してしまったがゆえに、このままでは彼女が幸せになれないことがわかっているがゆえに、身を引いたんです。その愛の深さ。彼の悲しさや切なさが壮大なテーマソングのBGMとともに私の心を直撃しました。涙がドドドドー。


映画では表せない、舞台の役者ならではの演技力のすごさを実感しました。舞台の上の人物と客席がシンクロした瞬間でした。周りの人たちもみな泣いてました。カーテンコールはもちろんスタンディングオベーション。「ブラボー」と叫びながら拍手しながら、私はまた泣いてしまいました(苦笑)。

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