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2017-02-20

【脚本研究会】2月定例会報告

【日 時】平成29年2月10日(金)19:00~20:30
【会 場】成城学園初等学校 小会議室
【参加者】木村(た)、田中、保坂、森田、百合岡(計5名)

リーディング用脚本 今昔物語より
『高麗の笛』/森田勝也 補作・構成 

<作品について>
 時は平安時代。京の楽所に所属する伶人・狛の直方は、道中で出会った彩路という婢(はしため)に初めての恋をする。思いを募らせた直方は、唯一の財産である家を売り払い同僚に借金をして、彩路をこき使う地主の元から救い出す。つつましく、幸せに暮らす二人だったが、ある日、楽所から高麗の笛がなくなるという事件が起きる。

<作者より>
中学生以上を対象にした朗読劇。稲城の「朗読の会」(大人)で上演済み。日本語の美しさを伝えたいという思いから書いた作品。今昔物語にある「蘆刈の歌」を中心に、その他の話を組み合わせ、原作をかなり膨らませながら構成した。

<話し合いより>
・悲恋物語。読んでいてドキドキした。中学生というより大人向け?
 →(作者から)このくらいの色っぽさは、中学生に読ませてもよい。
・朗読劇は、本を読むのと違い文字からイメージできない。例えば、「狛の直方」の「狛」も、「こま」と聞くと別の文字を思い浮かべてしまう。音声だけで聞き手はどれだけイメージを膨らませ、どこまで日本語の美しさを感じることができるだろうか。
・(作者から)『今昔物語』を原語で読んでみたが、とても難解。杉本苑子の訳本を読んで内容を理解し、大まかな筋立てをして、構成しなおした。
・笛を盗んだ犯人は結局誰だったのだろう?
 →(作者から)そこを描くと、それだけで大作になってしまうので、あえてはっきりさせなかった。分からないままのことがあってもよいのではないか。
 →(参加者から)なくなった笛は、人生が変わるきっかけになるほどのもの。落としどころがないと、どこかすっきりしない。例えば直方を「笛の名手」とすれば、事件の犯人として疑われる伏線になる。
 →(作者から)「直方に嫉妬する同僚が盗んだ」などとすると、お決まりのパターン。納得はするけど安っぽくなる。説明すればするほどあざとくなってしまう。描きたかったのは最後の場面であり、女の切なさ。
 →(参加者から)タイトルにもなっている「高麗の笛」が、直方と彩路に何らかのつながりをもたせるとよいのでは。直方がこの笛を吹き、彩路がそれを聴く・・・という場面をつくるなど、二人の幸せの象徴として描くなど。
・ラストシーンの、彩路が直方の歌声を聴き分けるシーンがよい。前段にもそうしたシーンがあるとよいのでは。
・「相手のために身を引く=究極の愛」なのか?
→(一同)「うーん・・・。」でも、生きるか死ぬかの選択というくらい当時は生活がかかっていた。生きていくための、やむを得ない決断。「現代だったらどうなのかな」「心中?」「そういえば最近あまり聞かなくなったね・・・」「今の人には理解し難いことかもしれない」
→時代背景を踏まえながら、「自分を犠牲にしても愛する人を思う」という普遍的なテーマにつなげていけばよいのでは。
 ・彩路に求愛する「少将」がいい人すぎる?強引な悪役にした方が、ストーリー上はすっきりするのでは。
  →少将が非の打ち所のないいい人だからこそ、直方は嗚咽をこらえながら身を引こうと決意したのであり、そこに哀しさがある。
・直方の友人・虫麿とその女房のやりとりは、ちょっとコミカルでほっとする。演じる人によっていろんな味が出せるおいしい役。悲恋の物語なので、こういう登場人物が存在するのはよい。

◆小雪のちらつく寒い夜、インフルエンザで欠席される方もあり、こじんまりとした会となりました。今回は、いつもと違う大人向けの作品でしたので、話し合いもいつもと違う盛り上がり方でした。こじま飲み会でもこの話題で盛り上がること二時間!「愛とは」「幸せとは」「生きることの喜びと哀しみ」・・・と話は尽きず。しまいには劇作メンバーを勝手にキャスティングしてみたり(すみません)、主役の直方になりきって演じ始める人がいたりと、もうやりたい放題(笑)
◆参加者の感想より・・・「皆さんと話していて、『そういう考えもあるのか』と想像がすごく膨らんで、ワクワクドキドキした。俺が直方をやりたい!」(T氏)、「登場人物をいろんな人に当てはめて考えることによって、『あの人だったらこう言うかもしれない』と人物像が深まっていくのだなと分かった。」(H氏)、「児童劇ではないけれど、たまにはゼミでこういう作品があってもよいのかなと思った。人間の本質を考えることになるのだから。」(M氏)
◆ちょうどこの日、森田さんが投稿された意見文「子どもに『遊び』を取り戻そう」が日経新聞(2/10朝刊)の〈私見卓見〉欄に掲載されました!

◆次回のゼミは3月10日(金)19時~成城学園初等学校にて。作品提出は岸さん、千野さん、野口さんの予定です。皆様ぜひご参加下さい♪
【文責・百合岡】

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